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解説

知っておくと違うこと

ご相談の前に読んでおくと判断しやすい話を書いています。専門用語はできるだけ避け、根拠の条文は末尾に載せています。

逮捕された家族の勾留を防ぐために、72時間で何ができるか

弁護士 津田康平(弁護士法人ACLO・愛知県弁護士会)/刑事事件 令和8年9月9日

結論

勾留を防ぐ鍵は、逮捕から最大72時間のうちに、①住居が定まっていること ②証拠を隠すおそれがないこと ③逃げるおそれがないこと——この3点を、裁判官が読める形の資料にして出すことです。

まず、時間の区切りを知ってください

逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官に送ります。検察官はそこから24時間以内、かつ逮捕の時から72時間以内に、裁判官へ勾留を請求するかどうかを決めます。裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長されるとさらに10日間、身体の拘束が続きます。

つまり、勾留されるかどうかが決まるまでの時間は、長くても3日です。ここを過ぎてから動くのと、この中で動くのとでは、できることがまったく違います。

裁判官は、この3点を見ています

勾留が認められるには、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることに加えて、次のいずれかが必要です(刑事訴訟法60条1項)。

  • 住居が定まっていない(1号)——住民票と実際の生活の場所が違う、家がない、といった場合です。
  • 証拠を隠したり、口裏を合わせたりするおそれがある(2号)——被害者や共犯者、職場の同僚と連絡が取れる立場にあるかが見られます。実務でいちばん多く問題になるのはここです。
  • 逃げるおそれがある(3号)——仕事や家族との結びつき、身元を引き受ける人がいるかが見られます。

この判断は、勾留質問という短い手続と、警察・検察官から提出された書類だけを材料に行われます。裁判官の側から関係者に事情を尋ねてくれることはありません。こちらから資料を出さなければ、警察の見立てだけで判断される——これが実際に起きていることです。

72時間のうちに用意できるもの

その事件の内容によりますが、たとえば次のようなものが効きます。

  1. 身元引受書——ご家族が、監督することと、必ず出頭させることを約束する書面です。同居しているか、日中に見ていられるかを具体的に書きます。
  2. 勤務先が在籍を認める書面——逃げる理由がないこと、失職しないことを示します。
  3. 住居に関する資料——賃貸借契約書、住民票、家族の状況。
  4. 関係者に接触しないという誓約——連絡先を消す、SNSを使わない、通勤経路を変える、といった具体的な内容にします。抽象的な約束は効きません。
  5. 被害者の方への謝罪と示談の申し入れ——事件の性質によっては、これが最も大きく働きます。

これらを、検察官が勾留を請求する前に検察官へ、請求されたあとは裁判官へ、意見書という形で届けます。

勾留されてしまった場合にも、手はあります

  • 準抗告——勾留の決定に対して、別の裁判官の判断を求める手続です(刑事訴訟法429条1項2号)。日数が経つほど通りにくくなるため、決定の直後に動きます。
  • 勾留の取消し・執行停止——事情が変わった場合の手続です(同87条、95条)。
  • 保釈——起訴されたあとに請求できます(同88条以下)。
  • 接見禁止の一部解除——家族だけでも会えるようにする申立てです(同81条)。ご本人にとっての意味は大きいものです。

ご家族がいますぐできること

ご本人のお名前、逮捕された日時、留置されている警察署、そして「どういう出来事だったか」のおおよそ。この4つが分かれば、弁護士はすぐ接見に行けます。分からない部分があっても構いません。

逮捕の連絡を受けた直後は、何をどう聞けばよいのか分からないものです。まず電話をいただければ、伺いながら整理します。

根拠となる主な条文 刑事訴訟法203条1項(司法警察員の送致・48時間)/205条1項・2項(検察官の勾留請求・24時間かつ72時間)/60条1項(勾留の理由)/61条(勾留質問)/81条(接見等の禁止)/87条(勾留の取消し)/88条以下(保釈)/95条(勾留の執行停止)/208条(勾留期間と延長)
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