逮捕された家族の勾留を防ぐために、72時間で何ができるか
勾留を防ぐ鍵は、逮捕から最大72時間のうちに、①住居が定まっていること ②証拠を隠すおそれがないこと ③逃げるおそれがないこと——この3点を、裁判官が読める形の資料にして出すことです。
まず、時間の区切りを知ってください
逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官に送ります。検察官はそこから24時間以内、かつ逮捕の時から72時間以内に、裁判官へ勾留を請求するかどうかを決めます。裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長されるとさらに10日間、身体の拘束が続きます。
つまり、勾留されるかどうかが決まるまでの時間は、長くても3日です。ここを過ぎてから動くのと、この中で動くのとでは、できることがまったく違います。
裁判官は、この3点を見ています
勾留が認められるには、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることに加えて、次のいずれかが必要です(刑事訴訟法60条1項)。
- 住居が定まっていない(1号)——住民票と実際の生活の場所が違う、家がない、といった場合です。
- 証拠を隠したり、口裏を合わせたりするおそれがある(2号)——被害者や共犯者、職場の同僚と連絡が取れる立場にあるかが見られます。実務でいちばん多く問題になるのはここです。
- 逃げるおそれがある(3号)——仕事や家族との結びつき、身元を引き受ける人がいるかが見られます。
この判断は、勾留質問という短い手続と、警察・検察官から提出された書類だけを材料に行われます。裁判官の側から関係者に事情を尋ねてくれることはありません。こちらから資料を出さなければ、警察の見立てだけで判断される——これが実際に起きていることです。
72時間のうちに用意できるもの
その事件の内容によりますが、たとえば次のようなものが効きます。
- 身元引受書——ご家族が、監督することと、必ず出頭させることを約束する書面です。同居しているか、日中に見ていられるかを具体的に書きます。
- 勤務先が在籍を認める書面——逃げる理由がないこと、失職しないことを示します。
- 住居に関する資料——賃貸借契約書、住民票、家族の状況。
- 関係者に接触しないという誓約——連絡先を消す、SNSを使わない、通勤経路を変える、といった具体的な内容にします。抽象的な約束は効きません。
- 被害者の方への謝罪と示談の申し入れ——事件の性質によっては、これが最も大きく働きます。
これらを、検察官が勾留を請求する前に検察官へ、請求されたあとは裁判官へ、意見書という形で届けます。
勾留されてしまった場合にも、手はあります
- 準抗告——勾留の決定に対して、別の裁判官の判断を求める手続です(刑事訴訟法429条1項2号)。日数が経つほど通りにくくなるため、決定の直後に動きます。
- 勾留の取消し・執行停止——事情が変わった場合の手続です(同87条、95条)。
- 保釈——起訴されたあとに請求できます(同88条以下)。
- 接見禁止の一部解除——家族だけでも会えるようにする申立てです(同81条)。ご本人にとっての意味は大きいものです。
ご家族がいますぐできること
ご本人のお名前、逮捕された日時、留置されている警察署、そして「どういう出来事だったか」のおおよそ。この4つが分かれば、弁護士はすぐ接見に行けます。分からない部分があっても構いません。
逮捕の連絡を受けた直後は、何をどう聞けばよいのか分からないものです。まず電話をいただければ、伺いながら整理します。